不動産投資の話をすると、地主さんや会社経営者、お医者さんのように資産をたくさん持っている人しかできないと思っている方が多いです。
実際にそんな事はなく、一般的なサラリーマンやOLさんのように、莫大な資産を持っていなくても不動産投資を始めてらっしゃる方が多くいます。結果、着実に個人の純資産を増やしているわけです。なぜ、そんな事ができているのか。
それは、不動産投資にどんな種類があるかを知るところから紐解くといいでしょう。
不動産投資には、手頃に始められる投資から上級者レベルまで様々種類があります。着実に老後資金の対策として資産を増やす人がいて、中には小さく始めて数年で拡大し脱サラする人もいます。
一方、不動産投資によってとても苦しい思いをしている人がいるのも事実です。せっかく始めたのに「こんなはずじゃなかった」と後悔する話もよく耳にします。
この違いは何であるか。まずは投資の種類を知り、自分にどんな投資が合っているか。それを見極めて準備するところから始まります。早速、どんな投資の種類があるかみてみましょう。
投資用「新築」マンション(区分)
知ってる人も多いと思いますが、サラリーマンやOLがよく耳にするのはこのタイプの不動産ではないでしょうか。それはなぜかというと、不動産会社から執拗な営業や広告を目にする事が多い分野だからです。
「区分」というのは、マンションやアパートの「1室」とイメージしていただいて大丈夫です。もちろん、オフィスビルや商業ビルも、壁で区切られている独立したスペースであれば「区分」と呼びます。ここでは、その「1室」を「新築」で購入した場合、という前提でお話しします。
「新築」区分は、あなた自身に一定期間の勤続年数があり、返済できる規模の物件であれば、銀行が融資しやすいという一面があります。銀行も、劣化が進んでいる中古よりは新築の方が貸しやすいでしょう。
しかし、この種類の投資は特に慎重にならなければなりません。「新築」というだけで、広告費や営業費用、不動産会社の利益分がどっぷり乗っかっている場合があるからです。不動産投資の大原則は「いい物件を安く仕入れて、上手に運用し利益を獲得し続けること」です。
もし相場より高い金額で買ってしまったら、毎月利益を出していくのが難しいでしょう。この「新築」は相場より高い金額で売られている事が多いんです。
多くの人はローンを組んで買うわけですが、家賃収入から主にローン返済、その他管理費や税金を差し引いて利益を出していかなければなりません。少しでも高額な物件だと、利益が全く出ず、むしろ毎月マイナスになる可能性もあります。
特にこの「新築マンション」投資の場合は、そうなる可能性が高いので十分にシミュレーションを行った上で判断が必要でしょう。
中古マンション(区分)
この分野は、築年数がある程度経過していて、立地や築年数、広さ、利便性など、様々な要因で価格にばらつきがある分野だと思っています。私も初めて購入した物件は、まさにこの分野でした。ばらつきがあるため、本当に良い物件に出会えば投資しがいがあるのもこのタイプだと思います。
また、投資額も一棟ものに比べれば少なく、大損せず堅実に資産を持てるのもこの投資の特徴です。おそらく、会社員の方々にとっては、低リスクで管理しやすいという面から参入しやすい種類の投資であると思います。
しかし、中古なので、売主(持ち主)が自由に価格を決めるため、買う側がある程度勉強しないと足元見られた取引をしてしまう可能性があります。まあ、どの種類の投資もそうですが。
まずは立地。その物件に賃貸需要があるかどうか。
適正な価格で売り出されているか。
家賃の相場はいくらであるか。
後はご自身のことで、自己資金をいくら用意し借り入れはどの程度を考えているか。
最後の部分も詰めておかないと、月々のキャッシュフローに直接影響してくるので、
事前のシミュレーションは必須と言えます。
諸々を勉強しておかないと後々後悔する結果になります。かく言う私も、最初の投資は全く学習が足りなったと猛省しました。キャッシュフロー予測の詰めが甘かったし、購入価格も投資としての旨みがない金額で取引したのです。結果、キャッシュは残せたものの、思った通りのプラスが出ず費用対効果は・・・という感じでした。
少し脱線しましたが、この投資は自身の勉強が生かされる分野なので、
その分面白さがある投資だとも思います。また、新築も同様ですが、「区分所有」であれば「管理しやすい」というメリットはあります。
共用部は組合が管理し管理会社(良い管理会社)が付いていれば、ずさんな管理でない限りさほど心配することはないでしょう。そして、賃貸管理を管理会社に委託すれば、入居者とのやり取りや空室時の入居付けも管理会社がやってくれます。もちろん判断するのはあなた自身ですが、日々忙しいサラリーマンにとって少しでも手間を減らせることは大きなメリットであります。
しかし、そのマンション管理組合や管理会社がずさんな管理をしていれば、状況は異なります。当たり前ですが、入居者様が居てくれることで成り立つ投資なので、共用部の管理が行き届いていなかったり、修繕がされておらずボロボロの住居であれば入居者がお部屋を借りようと思わないですよね。さらに、メンテナンスされていない物件など、将来思わぬ出費が発生する可能性が高く、よほどメリットがないと投資する気になれないと思います。
大規模修繕の実施履歴や修繕計画が組まれているかなど、管理状況も購入前に抑えるべきポイントです。日々忙しいサラリーマンにとっては、後日お話しする「一棟もの」と比べ手間が少なく始めやすいというメリットはあると思います。
しかしながら、いわゆる「利回り」については、人気エリアは低くなる傾向にあります。
人気エリアは物件価格が高額なため、物件価格に対する家賃収入の割合が低くなるためです。
但し、冒頭に話した通り、長い視野で資産を築く目的であればチャレンジし易い分野であると思います。いつかまたお話ししますが、必ず「資産性」が高い物件を買うこと。
これが最大の条件ですね。
中古戸建て
これは、文字通り中古の戸建て住宅を購入し、入居者から家賃収入を受け取り運用する投資です。通常は、「土地+建物」を購入するのですが、築古であると建物の金額がほぼゼロ価値であるため、土地の値段のみで取引される場合もあります。
この種類の投資は、戸建てとは言え建物を一棟丸ごと購入するわけですから、入居できるようリフォームしたりメンテナスして貸し出す事が通常になります。そのため、前述の区分マンションより手間がかかる事が多いです。
この投資の醍醐味は、いかに予算以下で上手くリフォームし、入居し続けてもらえるかがキモであります。人によっては、リフォーム会社や建築会社に外注せず、DIY感覚でリフォームを自身でケースもあります。そうすると、外注するよりリフォーム代を抑えることができ、その分「利回り(家賃収入/投資額)」を改善することができるからです。
この投資は、中古区分マンションより手間がかかる分、やりようによっては高い利回りが期待できる可能性もあります。くどいようですが、あくまでも投資原則は「いい物件を安く仕入れて、上手に運用し利益を獲得し続けること」です。
極端な話、建物がボロボロで破格で売られている物件を購入し、自身でリフォームし周辺相場以上の家賃で貸すことができれば、高い利回りが期待できるわけです。ここでは、自身の人件費や費やす時間は計算していませんが利回りだけ見ると理論上は成立します。
しかし、素人が最初からリフォーム、メンテナンスを自身で上手くできるはずがありません。しかも、単純に目に見える範囲以外にも、構造上の欠陥や下水、シロアリ、雨漏りなど、購入した時に見つけられないマイナス部分に直面するリスクもあります。
この投資を好む先輩大家には、数々の試練や経験を積んだ結果、やっと上手く運用できるようになったと話してくださる方もいます。そう、全くの素人には参入するリスクが少し高い投資である可能性もあるでしょう。
また、前述の区分マンションより手間がかかるため、忙しいサラリーマンにはあまり向いていないかも知れません。それでも、ここで成功実績を積んでおくと、不動産投資の経験値が上がる事は間違いないと思うので思い切ってチャレンジするのもありです。
他のメリットとしては、地方の戸建てなど破格で売られていたりします。安価な分、参入しやすいという利点があります。
しかし、安い物件には安い理由があります。市街地から遠い、再建築不可、家に傾きがある、建物の周辺が管理されていない、などなど価格が下がる理由はいくらでもあるでしょう。要は売れずに残っている可能性もありますから。また、自身が売る時のことも考えておかなければなりません。
一方、このタイプの物件を好み戸建て投資ばかり行っている先輩大家さんもいます。かなり高い利回りを出しているようですが、情報収集と想定外への対策がぬかりないです。ほとんど投資経験を積んで得たものとのこと。やはり最終的には実践あるのみ、ということでしょうか。
今回は、以上の3種類の投資をご紹介しました。
次回以降に、別の不動産投資について説明していきます。
福井