住宅購入について

繰り上げ返済って本当にメリットあるの!?

12月に入り今年も残すところ、あと僅かとなってきましたね。
この時期、会社によっては冬のボーナスをもらえる時期だったりするのでは。
実際にボーナスというと、あなたはどんな事に使いますか??

人により様々ですが、旅行や帰省に使ったり、
あるいは家具家電の入れ替えや貯金、投資に回す人もいるかも知れません。

その中でも結構多く見られるのが、今日のテーマである「繰上げ返済」です。

繰上げ返済って・・・何!?

ローンを組んだことがない人にとっては、あまり聞きなれない言葉かも知れません。
「繰上げ返済」とは文字通り、毎月のローンの返済とは別に、
まとまったお金をローン返済の一部に充てることです。

そうすることで、ローン期間を短くしたり、月額の支払い金額を下げる事ができます。
金利負担や返済期間を軽くできるので、結果、
総返済額を減らすことにつながるのです。

詳しくは、具体例でみてみましょう。

繰上げ返済の具体例

早速、具体例を見ていきますが、繰上げ返済は大きく分けると2つの方法に分かれます。
簡単に言うと、

a.ローンの期間を短縮する「期間短縮型」

b.毎月の支払額を軽減する「返済額軽減型」

このどちらかを選択できます。

ローンの期間を短縮する「期間短縮型」

「期間短縮型」で繰り上げ返済した場合、毎月の返済額は変わりません。
変わるのは、返済期間が短くなることです。
以下の条件で見てみましょう。

<借り入れ当初の条件>

借り入れ金額:3,000万円

金利:1.5% (10年固定金利)

返済期間:35年

この条件で、10年後に100万円の繰り上げ返済を実行したとします。
そうすると、返済期間が

返済期間:35年 ⇒ 33年9ヶ月

と短くすることができ、

さらに、総返済額から利息分を「約44万円」も減らす事ができるんです。
ローン返済期間が短くなり、支払う金額を約44万円も節約できるんです。
もし、このような繰上げ返済を毎年できていれば相当なメリットがありそうですよね。

しかし、デメリットや落とし穴もあるので
注意が必要です。
その点は、また後ほどお話しします。

毎月の支払額を軽減する「返済額軽減型」

「返済額軽減型」では、文字通り、毎月の返済額を下げる事が可能です。
先程の「期間短縮型」と同じ条件でシミュレーションをみてみましょう。

<借り入れ当初の条件>

借り入れ金額:3,000万円

金利:1.5% (10年固定金利)

返済期間:35年

この条件で、先程と同じく10年後に100万円の繰り上げ返済を実行します。
そうすると、

当初返済額:91,855円 ⇒ 87,855円

毎月4,000円負担が減りますね。

利息の軽減効果は、と言うと、

利息軽減額:199,766円

約20万円分の利息軽減が期待できます。

「期間短縮型」の44万円に比べれば利息軽減は小さいですが、毎月の支払い額が軽減される点はメリットですよね。
毎月の家計負担を減らしたい人にとっては、効果的な方法かと思います。

では、「期間短縮型」と「返済額軽減型」一体どちらの方にメリットが多くあるの??
って思うかも知れませんが、これについては一概に「こっちです」とは言い切れません。

なぜかと言うと、個々の家計状況やライフプランによるからです。
だって、毎月のローン支払いがカツカツで大変っていう人に、
「期間短縮型」の繰り上げ返済を勧めても、あまり解決にならないですよね。

逆に、退職後もローンが残ってしまう人で、年金を頼りに返済するしかないという場合、
目先の返済額より一日でも早く完済時期を早めた方が効果的じゃないですか??
そう。この場合は「期間短縮型」で計画してあげる方が有効です。

では、繰り上げ返済自体にデメリットはないの??
っ思う人のためにメリット・デメリットも書いてみようと思います。
一部繰り返しの内容もありますが、しっかり頭に入れていきましょうね。

繰り上げ返済のメリット・デメリット

メリット(期間短縮型)

・返済期間を短くすることで、退職後のローン負担を減らす事ができる。

・利息分の支払いが減り老後資金を増やせる。
 ※利息低減については、返済額軽減型より効果が高い


老後資金が不安だったり、定年退職後も返済が続く場合は
「期間短縮型」の方が有効ですよね。
定年退職後に再就職できても、収入が現役世代並みになる可能性が低いです。
会社役員とかなら別でしょうけど。

さらに、年金だけで老後を暮らそうと事を考えている場合は、
年金の半分以上がローン支払いに消えるなんて事もあり得る話です。
そんな状態を避けたいから、ボーナスを繰り上げ返済に充てるってのも納得できます。

では、もう一方の「返済額軽減型」はどうでしょうか。

メリット(返済額軽減型)

・毎月の返済額を軽減することで、家計負担を抑える事ができる。

・利息分の支払いが減り、節約効果がある。
 ※期間短縮型よりは効果が低い。


毎月の返済額を軽減すると、月々の家計の負担は少なくなるでしょう。
ぎりぎりの生活を送っている方には有効ですよね。
住宅ローンを圧迫する理由は、家計と照らし合わせると様々な理由が見えてきますよね。

・家計に対し負担が大きいローンを組んでしまった。

・同時期に、子供が私立の学校に通い始めた。

・車をローンで購入したため、毎月の支払いが家計を圧迫し始めた。

・家族が病気を患い、医療費の負担が増えた。

・突然のリストラに遭い、前職より給与が低い会社に転職した。

 などなど、上記はほんの一例です。
個人の事情なので、きりがないくらい考えられます。

家計の中で、ローンの返済割合が多いと、
毎月のキャッシュフローが大変です。
毎月赤字かぎりぎり大丈夫か、、、そんな苦しい思いをして過ごすより、
少しでも負担を減らし家計の黒字化に努めた方が精神的にも楽になるでしょう。
そのために「返済額軽減型」を選択する理由も理解できますね。

以上のように、各個人の目的に合わせて繰り上げ返済をうまく使うのは、
とても有効的だと思います。

しかし、メリットがあるということは、必ずデメリットや落とし穴もあります。
最後に、デメリットについて触れてみたいと思います。

 

~ 繰り上げ返済のデメリット・落とし穴 ~

手元のキャッシュが減ること

まず一番目にあげられるデメリットは、手元のキャッシュが減ることです。
いざ、という時に手元のキャッシュがなく、苦渋の決断せざるを得ない場合もあるかも知れません。

例えば、手元の資金が手薄になると、突然のケガや病気、子供の教育費など、
予想外の出費に対応できないリスクがあります。
きちんと資金計画をしていて、貯蓄や保険でカバーできれば別ですが。
ライフプランを考えず勢いで買ってしまった場合は要注意です。

また、一度繰り上げ返済で支払った分は返金されませんし、
新たに借金するのも考え難いものです。
そうなることを避けるためにも、繰り上げ返済はファイナンシャルプランを見ながら
計画的に実行すべきです。

別の視点からみると、手元のキャッシュを投資などに充てることもできたかも知れません。繰り上げ返済に充てる金額は、一般的に数十万円~数百万円でしょう。
それだけまとまった資金であれば、株式投資や不動産投資の資金に充てられるでしょう。

まとまった資金を利回りが良い投資に回した方が、住宅ローンを早めに返すより
生涯に渡りお金を残すかも知れません。

まだまだ投資でリスクを負う事に嫌悪感を示す日本ですが、
きちんと投資を理解した上で行う場合は、高い確率でリスクを回避できます。
この選択肢を作らないこと自体、機会損失という意味で大きなデメリットかも知れません。

他に挙げられるデメリットとしては、次の通りです。

住宅ローン控除を受けられなくなる場合がある

住宅ローン控除とは、持ち家の購入で住宅ローンを利用した場合にローン残高に応じた金額が、10年間にわたり還付される制度です。

返済期間が10年以上あることが条件なので、期間短縮型の繰り上げ返済により返済期間が10年を切った場合は、住宅ローン控除が受けられなくなります。

 

団体信用生命保険に関して

住宅ローンを組む時に、金融機関はほぼこの保険に加入します。
これは、住宅ローンを借りてる人が万が一死亡した場合、その後のローン返済が不要となる保険です。

なぜデメリットかと言うと、頑張って繰り上げ返済し続け、
残債もほとんどなくなった後に死亡した場合、繰り上げ返済を頑張らなくても団体信用生命保険で返済が免除されてたわけです。

まあ、これについては結果論であり、また、返済に対する姿勢の問題もありますが、
頑張って返済していた分を貯蓄や他の使い道に充てることができたかも知れません。
こういう視点もあることは知っておいてください。


他にもデメリットはいくつかありますが、
最低でも以上の3つは覚えておいた方がいいと思います。

以上、住宅ローンの「繰り上げ返済」に関してお届けしましたが、
いずれも自身のライフプランを持った上で、実行すべきという点は強く念押ししておこうと思います。

それをやるかやらないかで、将来手元に残る資産に大きく差が出るかも知れませんので。

福井