先日、保育料についてこんな記事が出てましたね。
(2017年11月15日 毎日新聞)
認可保育園の無償化は、選挙でも公約してましたが。
記事によると、今後は、認可外(無認可)保育園の補助まで検討するとのことです。これが実施されると、認可保育園に入園させられなかった保護者の負担が軽減されますね。
この方針自体は「2019年度から段階的に」とのこと。引き続き、今後の経過に注目する必要がありますね。
保育園の問題は、都市部を中心とした待機児童の話や、入園の条件や制約が厳しくて入園できなかったり、 職場復帰できないママさんなど、深刻な社会問題になっています。
入園させるまでが大変なイメージだけど、実は入園してからも色々と課題はあるものです。
「保育料ってこんなに高いの??」とか「パート代がほとんど保育料で飛んでいく・・・」などといったお金の話は、ついてまわるもの。
この機会に、改めて保育料についてみてみましょう。
保育園の種類ってなに!?
すでにお子さんを入園させているママさんパパさんはご存知かも知れませんが、保育園には、いくつか種類があります。
国の基準を満たしているかどうか。これが大きな境い目なのですが、種類によって保育料が大きく異なります。
①認可保育園
認可保育園とは、国が定める基準を満たした保育園です。
具体的には、施設の広さや保育士の数、給食設備、防災・衛生管理等の基準を満たしていて、各都道府県知事に「認可」された保育園のことを言います。
比較的、保育料が安く建物設備もしっかりしているので、入園待ちの待機児童が多いです。
②認証保育園
認証保育園ってあまり聞きなれない言葉かも知れません。
東京都独自の制度で、国の基準(認可保育園の基準)をクリアできない保育園のために作った、東京都のルールに合わせた保育園という位置付けです。
認可保育園に比べると、比較的保育料は高めですが、市区町村から保育料の補助が出る地域がほとんどです。
また、ママさんパパさんにとっても、夜遅くまで開園していたり、入園手続きを保育園と直接できる、といったメリットがあるのも認証保育園の特徴です。
③無認可保育園
文字通り、国が定めた基準を満たしていない保育園のことです。
無認可って聞くと、良くないイメージが浮かぶかも知れませんが、無認可だからこそのメリットもあります。
例えば、認可保育園の場合、入園できる条件として、ママさんパパさんが保育できない状況であることが大前提ですが、、、
無認可保育園は、入園の条件に保護者の状況は関係なく入園の手続きが簡単というメリットがあります。
さらに、認可保育園よりも、延長保育や夜間保育、休日保育など柔軟に対応してくれる保育園が多くあったり、 リトミックや英語教育に力を入れる保育園があったりと、保育園により特徴があるのも魅力かも知れません。
但し、認可保育園に比べ、保育料は高額です。
なんで保育料にばらつきがあるの!?
まず、保育料を考える時に、さっきの、
①認可保育園
②認証保育園
③無認可保育園
それぞれに分けて考えましょう。
まずは、認可保育園について。
①認可保育園の保育料
認可保育園の保育料について、単刀直入に言うと、
保育料に大きく影響するのは、あなたの世帯年収です。
世帯年収、つまり、あなたと夫(または妻)が稼ぐ年収の合計によって、保育料が大きく変わります。
厳密には「所得割額」という、納める税金によって計算されるのですが、ここでは割愛します。
じゃあ、年収によって一体いくらぐらい違うのか。3人家族という設定で、ある市区町村の例でみてみましょう。
※夫婦共働き、1歳児の3人家族
例えば、私が住んでいる横浜市の例でいくと、
a.世帯年収:300万円~400万円 ⇒ 月額保育料:20,400円~34,000円
b.世帯年収:500万円~600万円 ⇒ 月額保育料:44,500円~53,000円
c.世帯年収:800万円~1,000万円 ⇒ 月額保育料:71,500円~77,500円
*数値はあくまでも参考です。詳細は、各自治体にお問い合わせください。
なんと、世帯年収によって、保育料がこんなにバラつくんです。
まあ、稼いでいるならば、「その分保育料払ってよね。」という理屈は分かりますが、年収の違いで月額2~3万円変わってくるのは結構なインパクトです。
さらに、この保育料、自治体によっても、ばらつきがあるんです。
例えば、先程の横浜の保育料で、
世帯年収500~600万円のところをみてみると、
<横浜市>
月額保育料:44,500円~53,000円
でしたよね。
これに対して、東京都の板橋区だと、
<東京都板橋区>
月額保育料 : 27,100円~31,700円
なんと、横浜市に比べ、2万円近くも差が出ることもあります。
これは大きな差ですよね。
世帯年収が一緒なのに、支払う金額が違うんですから。
じゃあ、なんで住む街によって保育料がこんなにも違うのか・・・
これは、保育園を管理しているのが市区町村で、当然、その予算を市区町村が決めてるからなんです。
つまり、園児の人数に対し、保育の予算を市区町村が多く出してくれていれば、保護者の負担が軽くなる。
こういう理屈です。
他にも、保育料の負担が変わるのは、入園させる園児の年齢や、兄弟姉妹を入園させた場合などによっても、保育料は変わります。
いずれにしても、保育料がいくらになるか、入園させる前にある程度知っておいた方がいいでしょう。貯蓄や家計にも影響しますからね。
また、保育料意外にも、お着換えや散歩用の靴、オムツなどなど、色々とお金はかかってくるので、少し多めの予算をとっておきましょうね。
②認証保育園の保育料
認証保育園の保育料は、東京都の方針で、月220時間以下の利用の場合、
3歳未満:80,000円
3歳以上:77,000円
を超えない料金設定とされています。
さらに、助成金が出る自治体がほとんど。
ここでいう助成金とは、簡単に言うと、「保育料の足しにしてください」って、自治体があなたに支払ってくれるお金のことです。
助成金の金額も、世帯収入や園児の年齢、認可保育園に入園した場合との差額など、自治体によってばらつきがあります。
どのぐらいのばらつきかと言うと。。。
板橋区と杉並区の例でみてみましょう。
80,000円の認証保育園に、0歳の子供1人を入園させた場合。
<板橋区>
*住民税122,100円~180,600円未満を納めてる世帯
助成金 : 25,000円(月額)
保護者負担 : 65,000円(月額)
*80,000円 - 25,000円 = 65,000円
<杉並区>
*住民税40,000円~250,000円未満を納めてる世帯
助成金 : 40,000円(月額)
保護者負担 : 40,000円(月額)
*80,000円 - 40,000円 = 40,000円
杉並区では、対象者の幅はあるものの板橋区より15,000円も多く助成金が出るので、保護者の負担がその分減りますね。
毎月15,000円の差って、結構大きいですよ!
板橋区や杉並区のように、納めている税金で助成金が決める方法とは別に、認可保育園に行った場合との差額を助成してくれる自治体もあります。
参考までに港区の列です。
<港区>
*認可保育園に入園できた場合の保育料が31,000円だった場合の例。
*認証保育園の保育料80,000円と仮定。
認証保育園料80,000円 - 31,000円 = 49,000円
助成金 : 49,000円(月額)
なんと、保護者の負担は31,000円のみ。
認証保育園なのに、認可と変わらない負担です。
こんなに自治体によってばらつきがあると、住むところも考えちゃいますよね。
しかし、港区などは住居費が非常に高いので、その分プラマイゼロ、いや、むしろかなり高くつくかも知れませんね。
そのへんは、バランスを考えて計画立てるといいと思います!
③無認可保育園の保育料
ここでは、認可外、または認証保育以外の保育園を言います。
無認可保育園の保育料は、規制がないため運営側で自由に設定できます。
相場は、月額5~7万円ぐらいの保育園が多いようですが、待機児童が多い都内の激戦区だと、軽く10万円を超える保育園もあります。
保育料に10万円ですよ!
「金額の問題じゃないよ!」って言えば、それまでだけど、それにしても、認可保育園との不公平さがあり過ぎですよね。
なので、その声を反映して、冒頭の記事のように、国も何かしらの対策を考えているようです。
仮に、近い将来、25,000円の補助が決まれば、無認可保育園の保育料が7万円の場合は、
45,000円の負担。。。
まだ少し高い感じがしますが、今よりはだいぶ軽減されます。
今後の国の動きに注目が必要ですね。
結局、保育料の相場っていくらなの?!
こんなにも保育料にばらつきがあったら、一体いくらで家計の予算組んでおけばよいか、分からなくなりますよね。
地域によっても、自治体によっても、年収によっても、そして、保育園の種類によっても、金額が異なるんだってことは把握した方がよいです。
まあ、住むところによって保育園料が数万円も違う場合は、思いきって引っ越しをして、差額の保育料を貯蓄に回すっていうプランもありかも知れません。
参考までに、世の中のママさんパパさんが、保育料をいくらぐらい負担しているのか。
全国平均を見てみると、月額およそ20,491円だそうです。
※データは、平成24年地域児童福祉事業等調査の結果によるものです。
あくまでも平成24年の認可保育園の全国平均です。
上記で書いたように、保育料は様々な要素によって決まるので、ちょっと面倒でも、自治体に問い合わせたり、資料で調べて知る事が必要です。
なかなか解決しない保育園の待機児童問題。
それ以外にも、保育料の負担が重かったり、保育料の不公平さが存在していたり、お金に関する課題も知っていただけたかと思います。
国や自治体の政策がいい方向に向かうことを願って、今後も引き続き注視していきたいですね。