確定拠出年金について

「個人型確定拠出年金(iDeCo)」が作られた理由とは?!

最近よく聞く「確定拠出年金」ですが、企業でも退職金代わりに導入され始めたり個人でも加入範囲が広がったりとますます注目が集まっています。

だけど、一体どんな制度でどんなメリットがあるか、イマイチよく分かっていない人も多いのでは??

ということで、今回は確定拠出年金でも特に「個人型確定拠出年金(iDeCo)」に焦点を充ててみていきたいと思います。

1.そもそも確定拠出年金って「なぜ!?」作られたの??

まず、確定拠出年金の中身について見る前にこの制度が出来た背景から知ってみないとダメです。なんのためにできた制度か知らないと、そもそもこの制度に加入すべきか判断つかないですよね。では、早速みていきましょう。

日本の年金制度は「1階部分と2階部分でできている」ってのは知っていますか?

<1階部分>

①国民年金(20歳以上の全国民が加入する年金)

 

<2階部分>

②厚生年金(サラリーマンや公務員が加入する年金) 

※同時に1階部分にも加入していることになっています。

③国民年金基金(自営業者やフリーランスが、任意で加入する年金)

 

掛けた金額とその期間により受け取る金額が増減します。つまり、1階部分しか加入していない人は2階部分まで加入していた人に比べ、受け取る年金が少なくなります。

各個人が加入する期間によって異なるのですが、国民年金(1階部分)のみの場合、現在はおよそ月額5~6万円台が平均とされています。

一方、厚生年金(2階部分)まで加入している人は月額およそ14万円台。その差は、約9万円ぐらいありますよね。自営業者やフリーランスの方が受け取る年金が少な過ぎる、、、

これはいかん、、、ということで「③」の国民年金基金がつくられました。

 

この基金はあくまでも「自営業者やフリーランス」のための制度。加入は任意ではありますが、自営業者やフリーランスの2階部分の年金はこれで補えます。

仮にサラリーマンや主婦(夫の扶養に入っている)が「さらに将来の年金を増やしたい」と思っても、この国民年金基金には加入できません。そういう決まりになっているので。

では、サラリーマンや主婦の方が「もっともっと、将来に受け取る年金を増やしたい」といった場合、どんな制度を使えばいいのか。ここで活用できるのが「個人型確定拠出年金(iDeCo)」です。

やっと出てきましたね。笑

この制度はさっきの年金の話にあてはめると、1階、2階部分に上乗せできる「3階部分」といった位置付けになります。実は、3階部分の年金は「個人年金」と言われ、確定給付年金や厚生年金基金などあるにはあったのですが、、、

運用主体が企業や基金であったりするので、企業側に負担が大きかったり運用でうまくいっていないなどの問題もありました。これらの年金にくらべると「個人型確定拠出年金」は、運用も毎月の掛け金も将来受け取る金額も、すべて自己責任で行うことができるのが魅力です。

ちなみに余談ではありますが、自営業者またはフリーランスの方にとっては、国民年金基金に加入せず確定拠出年金のみに加入することもできます。そういう意味では自営業者やフリーランスの方にとっては、確定拠出年金は2階部分の年金とみることができますね。

さらに言うと掛け金に上限はありますが、国民年金基金と確定拠出年金、両方に加入することもできます。両者の掛金は合算した上限が決まっていますが、この辺のお話しはまた別の機会に詳しくお話しします。

では、話を少し戻して、、、

元々この「確定拠出年金」って実は平成13年から導入されているんです。なぜ、最近になってよく話題にされる事が多いかと言うと、2017年1月1日より加入できる人の範囲が広がったからなんです。

変更前は、自営業者やフリーランス、企業年金のないサラリーマンが対象でしたが範囲が広がって企業年金のあるサラリーマンや公務員、専業主婦にまで加入が認められるようになりました。これによって、多くの人が3階部分の年金を準備しやすくなったのです。

そもそも、この確定拠出年金って「国の年金の財政が今後ますます厳しくなるから、国民一人ひとりでも年金を準備できるように」ってお国の事情があるらしいんです。もちろん、公にはそんな事どこにも書いていませんが。笑

さらには、従来の企業年金では企業側の負担が大きくなっていたので、これに代わる制度で確定拠出年金がうまくフィットしたのです。

以上のような背景があって、個人の自己責任で将来の受け取る年金額が決まる「確定拠出年金」という制度が徐々に普及していったというわけです。

サラリーマンであるあなたも、今の公的年金制度だけでは不安ではないですか?将来、今の水準と同じ年金額を受け取れるか、あるいはもっと年金保険料の負担が増えるのではないかと色々考えちゃいますよね。この機会に確定拠出年金のこと、少し知ってみてもいいかも知れません。

じゃあ、早速この制度について、少し覗いてみましょう!

 

2.個人型確定拠出年金(iDeCo)ってどんな制度なの!?

文字通り年金なので、積み立てをして原則、60歳以降にお金を受け取る仕組みです。確定拠出年金のポイントは、下記の3つ。

①毎月の掛け金を自分で決める

②自分自身で積み立てて運用する

③60歳以降の受け取り方法を自分で選択する

 

特徴的なのは、何もかも「自分」で決められるっていう部分ですね。

・毎月の積み立て金額をいくらにするか

・どんな金融商品を使って運用するのか

・将来どうやって受け取るのか

などを自分自身で決めるのです。それぞれ細かくみていきましょう。

 

①毎月の掛け金を自分で決める

毎月5,000円以上の掛金から積み立てできます。5,000円以上の掛金は1,000円単位で選択でき、掛金の変更も年1回可能です。但し、月々の掛金に上限が決められていて、あなたの属性や勤務先の環境により下記の通りとなります。

<自営業者などの場合>

掛金の上限:68,000円(月額)

 

<会社員(企業年金なし)の場合>

掛金の上限:23,000円(月額)

 

<会社員(勤め先で企業型確定拠出年金のみ加入)の場合>

掛金の上限:20,000円(月額)

 

<会社員(勤め先で企業型確定拠出年金その他企業年金に加入)の場合>

掛金の上限:12,000円(月額)

 

<公務員の場合>

掛金の上限:12,000円(月額)

 

<専業主婦(主夫)の場合>

掛金の上限:23,000円(月額)

 

あなたが会社員であれば、会社が「企業型」に加入していたり、その他「企業年金」を導入していたりすると掛金の上限が変わってきます。加入を検討する際は、勤め先に確認してみてくださいね。

 

②自分自身で積み立てて運用する

いくつかある金融商品の中から、あなたが希望する商品を選択して運用していきます。商品例としては、、、

・定期預金

・投資信託(国内外株式、国内外債券、REITなど)

・信託商品

・保険商品

 

などなど。

重要なのは、どの商品に資産を振り分けるかあなた自身が決められる点です。

例えば、毎月の掛金を投資信託に50%、定期預金に30%、保険商品に20%というように、あなたの資金を分散して投資できるのが特徴の一つです。分散して投資することで、市場の変化に対するリスクを軽減できます。

簡単な例で、あなたが商品AとBで運用しているとして、、、商品Aの価値が下がった場合、商品Bの価値が上がるとします。

その際に、あなたの資産を全体で見ると商品Aで価値が下がっていても、商品Bは上がっている。つまり、全体ではプラスマイナスゼロ。という理屈です。

このように、資産全体のバランスを考えながら運用できるのも確定拠出年金の特徴とも言えます。まあ、どの商品を選ぶかはあなた自身なのであくまでも自己責任ではあります。

 

③60歳以降の受け取り方法を自分で選択する

受け取り方法というのは、積み立てたお金を、

a.一括で受け取る

b.年金として分割して受け取る

c.一括と年金を組み合わせて受け取る

 

どれかを選択できるということです。

実際には、原則60歳以降に給付請求をして受け取るのですが、受け取り開始は最大で70歳まで引き延ばす事ができます。

また、50歳以上の年齢から加入した人は、受給開始(受け取り開始)が遅くなります。これは、60歳までの加入年数が10年未満となるためです。例えば、58歳で加入した場合は、受給開始が64歳からになるという感じです。

「どの受け取り方法が良いか」は、あなたの「退職金」や「所得」の事を考えながら決めると良いです。うまく使うと税金の面でメリットを受けられるですが、結構複雑なお話しもあるので詳細は次回以降にお話ししますね。

なんとなく、制度の概要だけでも分かってきましたか??確定拠出年金の次回は、いよいよ加入のメリットやデメリットを書いていこうと思います。

 

福井