最近のニュースについて

ニュースから学ぶ投資の本質

相続対策やメディアの影響あってか、ここ数年で不動産投資が一気に過熱しましたね。中古マンションなど、サラリーマンが手軽に始められるようになった背景にあります。

しかし、一方でどんでもない事件が起きているのもご存じですか。

最近、最も衝撃的だったのは、昨年後半に発覚したシェアハウス「かぼちゃの馬車」のニュースです。どんなニュースなのか、簡単にみてみましょう。

耳を疑うニュースの内容とは?!

 ニュースを簡単に説明すると、「かぼちゃの馬車」というシェアハウスを販売し、サブリースを提供する会社が、オーナーに賃料の支払いを約束していたにも関わらず、賃料が支払えなくなった、という話です。

30年間賃料を支払うという約束なのに、資金繰りが悪化したせいでオーナーへ賃料が支払えないというのです。

オーナーは、「30年間の賃料保証」という販売会社の言葉を信じてシェアハウスの購入に至るわけですが、、、

実際は、購入して数か月で賃料減額、後に支払いストップになったケースもあったようです。

オーナーへの支払いがストップしたら、オーナーは、銀行へのローンも支払えないですよね。毎月数十万円というローンをどうやって支払っていくのでしょうか。悪質というか、こんな事件が実際に起こっていると思うと、とても信じられません。

 

なぜ、事件は起きたのか。。。

じゃあ、なぜこんな事態に陥ったかというと、販売・サブリース会社が賃料支払いの充てにしていた資金は、シェアハウスを売って得るお金だったのですが、結論、単純にシェアハウスが売れなくなったそうです。

シェアハウスが突如売れなくなり資金が不足したため、オーナーへの賃料支払いがストップした、というわけです。

じゃあ、売れなくなった理由は??

それは、積極的に融資をしてくれていたある銀行が、急にお金を貸さなくなったためとのことです。ちゃんと賃貸経営として成り立っているのか、銀行側も不安に感じたのでしょう。

ちょうどその頃、世の中的に、銀行が賃貸経営に融資し過ぎっていう懸念が広がっていたところでもありましたからね。具体的には、実際に賃貸経営がうまくいくかよりも、担保が取りやすい「不動産」という分野だからお金を貸す、そんな傾向が銀行側にあったみたいです。

それって、貸し倒れするリスクあるし、貸し出す意味の本質は逸れてますよね。それに警鐘を鳴らし始めた時期ってことです。

冒頭でも話したように、サラリーマンてもお金を借りてすぐに手軽に始められる、そんな風潮があったわけです。

話を戻すと、そもそも、シェアハウス1棟が数千万円~1億円するのに、融資下りなかったらほとんどの人は買えないですよね。まあ、その売ったお金をオーナーへの賃料支払いに充てるスキームもどうかと思いますが、、、

結果、サブリース会社はオーナーへ賃料の支払いができず、オーナーは銀行へ月々の返済ができず、、、という最悪の状態になっているわけです。

 

このニュースどこに問題がある?!

驚くべきことは、このシェアハウスを購入したオーナーは首都圏中心に700名程度いるということで、被害の規模でいったら相当なものになるはずです。

既に被害者の会もできていて、銀行との交渉など進めているらしいですが、この件は誰に責任があるの?って思いますよね。

①シェアハウスの販売・サブリース会社

②融資の在り方が問われる金融機関(〇〇〇銀行)

③投資に踏み切ったオーナー

「①」と「②」は、どちらに?というより、「どちらも」という感じはしますが、、、事業の実態を精査せずに貸す方にも、もちろん、あるでしょ。「③」は、被害者ではありますが、投資はすべて自己責任という認識があるかどうか、ついて回る話かも知れません。

「投資」という切り口で、とても気になる点があります。それは、サブリースという契約形態です。

そもそも、サブリースって「転貸」なわけですよ。オーナーが購入したシェアハウスをサブリース会社が借り上げるわけです。 サブリース会社は入居者から賃料を受け取り、オーナーに賃料を支払う。その差額で稼ぐのがこのビジネスの仕組みです。

つまり、賃料が、

シェアハウスの入居者 ⇒ サブリース会社 ⇒ オーナー

となるべき。

大事なのは、入居者からの賃料がベースにあること。しかし、実際はというと、冒頭に書いたように、販売して得たお金を賃料の支払いに充てようとしていたわけです。

 

投資や事業の本質から逸れると。。。

さらに、何よりも危険だったのは、入居の実態が50%に満たないなど、空室ばかりのシェアハウスだったこと。

この時点で、投資家にとっては投資という本質から逸れてしまいますよね。 投資って、いくら資金を捻出して、利回りがどのぐらいで、いつまでに資金を回収するかなどを、地道にやるわけですから。

投資家の方々は実体がない、勝算がない賃貸経営に資金を出していたというわけですが、これが一番怖いことなんです。

ここでは、不動産投資を例に出しましたが、 株式や投資信託だって一緒です。

実体が分からない。自分で理解できていない。検証もできない。こういったものにお金を投資することは、投資ではありません。 ただの資金提供です。

人に任せて、驚くべき実績を残しているファンドもありますが、それでも、任せる相手がどういう実績があるか、何を投資の対象としているのか。

あなたが投資家なら、もちろん自分自身で知ろうとしますよね。どんな投資でも一緒です。すべて自己責任なわけですから。

どんなに、テーブルの向こう側の相手が優秀そう、信頼できそうと思っても、実際は何をやっているか知らないとだめです。どんな投資でもいいですが、自分が理解できない事には手を出さないこと。

この事に注意するだけでも、あなたの資産が減るリスクを回避できるはずです。

 

福井